肺がん
肺がんは気管、気管支、肺胞の細胞が正常の機能を失い、無秩序に増えることにより発生します。近年、がんの発生と遺伝子の異常についての研究が進んでいますが、細胞がなぜがん化（無秩序に増える悪性の細胞に変わる）するのかまだ十分わかっていません。
がんは気管支から肺胞までの内側の粘膜や分泌腺の細胞に発生しますが、近年世界的に増加傾向にあり、とくに日本では胃がんを抜き、現在ではがんによる死亡原因の第一位となっています。初期のうちには自覚症状があまり出ないことから、発見時に手術可能なものは3分の1ほどだといわれています。
発症は、長期の喫煙者で40歳以降のいわゆる中年世代に多く、男性に多く見られます。原因としては、直接的なものは解明されていませんが、たばこ中のニコチン、タール、ベンツピレン、ニトロソアミンなどが発がん物質であることがわかっています。また、自動車の排気ガス、遺伝子異常なども肺がんの発生に関係があるようです。
肺がんは、発生部位による症状により肺門がんと肺野がんに分類されています。また、組織型によっても分類されていて、それぞれ非小細胞がんと小細胞がんと呼ばれています。
肺がんの症状
発生部位による症状の違い
- 肺門部（気管支が分岐する部分）：
- 気管支粘膜にがんが露出していることが多い。
呼吸が苦しくなるほど咳が続く、痰が増える。
がんが大きくなるとびらんや潰瘍ができ、咳などの刺激で出血するので血痰が出るようになる。 - 肺野部（肺の末梢）：
- 発生初期は自覚症状がほとんどない。
がんが大きくなって胸膜に浸潤すると、鈍い不快な痛みを感じる。
胸膜が炎症を起こし、微熱が続く。
進行すると胸水がたまり、呼吸困難を起こす。
気管支粘膜を刺激すると咳が続き、痰の量が増加する。
末期になると手術が困難の場合が多い。
肺がんの発見方法
最初はＸ線による検査を行う。
胸部単純Ｘ線撮影、異常な陰影が写るかどうかを調べる。
喀痰検査で痰を採取し、がん細胞の有無を調べる。
血液検査により腫瘍マーカーの有無を検査する。
気管支にファイバースコープを挿入して観察したり、組織を採取したりして検査する。
造影剤を注入して肺動脈を造影し、異常陰影と血管との関係を調べる。
同様に気管支動脈造影を行い、状態を調べる。
肺がんの治療法
手術が確実な治療法。
治療法には外科療法、放射線療法、化学療法、免疫療法があり、単独で行う場合もあるが、早期がん以外ではいくつか組み合わせて行うのが原則。
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